1973年、スウェーデンで銀行強盗事件がおきました。

犯人は銃を持っています。

人質をとって、人質を脅します。

 

この時、あなたが、もし人質の立場であったら、

犯人に対して、どのような感情を持ちますか?

 

それぞれ、意見はあるかと思いますが、

少なくとも、良い感情や印象は、

持てないのではないでしょうか?

 

しかし、この事件の場合、少し様子が違ったようです。。。

さてさて、一体何がおこったのでしょうか?

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事件現場で何がおきた!?

1973年8月、スウェーデン、ストックホルムの銀行で、

それはおきました。

銀行強盗がおしいり、人質をとって、

銀行にたてこもってしまったのです。

 

この事件は人質事件として、スウェーデンで初めて

生中継されたものです。

5日間の立てこもり劇にスウェーデンの人々が

TVに釘付けになったそうです。

 

その放送中に、人質(女性銀行員)との電話のやりとりが

流されたのですが、この人質の話がとても信じれないような内容でした。

 

「クラーク(犯人)も、もう1人の犯人も、全然怖くありません!

怖いのは警察です。私は犯人達を信じています。

ここではうまくやっています。」

 

。。。。。

えっ!?マジで。。。?

と、思ったのは僕だけではないはず(笑)

 

ちょっと、信じられませんよね?

本来であれば、憎むべき相手、怖がる相手を信頼し、

本来、助けてくる存在、信じるべき存在「怖い」と言っています。

 

実際、この言葉に嘘はなく、

犯人が寝ている間に、人質が警察に銃を向けるなど、

犯人と人質が協力して、警察に敵対する行動を

とっていたことが、事件後の調査でわかっています。

人質解放後も、犯人をかばって、警察に非協力的な証言

を行っています。

 

しかも、この後に一人の人質が犯人に対して、

 

な、なんと。。。

 

愛の告白をしています!

そして、結婚までにいたっています!!

(注:モテないからといって、

銀行強盗をするのはやめましょう笑)

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一体、何が人質達の感情を

ここまで動かしたのでしょうか?

下で、さらにお話していきたいと思います。

ストックホルム症候群発生の流れ

で、このように、人質が犯人に共感したり、

協力的な行動をとることを、地名に由来して、

ストックホルム症候群と呼びます。

stockholm

ストックホルム症候群について、

次のようなことがわかっています。

 

人は突然、事件に巻き込まれ、人質になると

「死ぬかもしれない」と、覚悟します。

そして、人質であるため、自由を奪われた状態になります。

犯人の許可がなければ、食べることも、トイレに行くことも、

話すことも許されない状況です。

 

この状態だと、食べ物を与えられたり、トイレへの許可を得るなど、

当たり前のようなことに対しても、感謝の気持ちが生まれます。

すると犯人に対して、好意的な印象を持つことになります。

犯人も人質に対する、態度が変わってきます。

 

で、この状態が閉鎖された非日常的な空間で

長時間続くと、犯人と人質が強く共感します。

 

さらに、犯人達の強盗をするしかない状況

(何があっても犯罪はダメですが)や心情を理解すると、

それに同情し、犯人に対して、

信頼や愛情を持つようになります。

 

また、もし

「警察が突入すれば、人質を殺害する」

という状況であれば、警察が突入することによって、

自分の命が、危険にさらされることになります。

と、なれば人質は突入を望みません。

その結果、警察を敵視する、心理になってしまう。。。

これが、ストックホルム症候群が発生する流れなります。

ストックホルム症候群は病気じゃない

ストックホルム症候群の原因は

人質事件のような、恐怖で支配された空間において、

犯人に敵意や憎しみを持つよりも、

信頼、協力、愛情を持って、反応することの方が

生存率が高くなるためにおこる、心理的反応とされています。

 

。。。。

と、さらっと言ってしまいましたが、

生存率を高くすることを無意識にやっていて

しかも、気持ちまで変化させてしまうなんて。。。

人間の脳って凄いですよね。。。

 

で、ここまでの説明でわかる通り、

ストックホルム症候群には「症候群」という文字が入っていますが、

病気とは少し違う感じがするかと思います。

 

むしろ「生存本能に基づいた、合理的な行動」

と、いえるかと僕は思います。

 

Kampuschという保護人も

次のような言葉を残しています。

「被害者に、ストックホルム症候群という

病名を付けることには反対する。

これは病気ではなく、特殊な状況に陥った時の

合理的な判断に由来する状態である。

自分を誘拐した犯人の主張に、自分を適合させるのは、

むしろ自然である。共感やコミュニケーションを行って、

犯罪行為に正当性を見い出そうとするのは、

病気ではなく、生き残るための戦略である」

(wikipediaより引用)

簡単にまとめますと、

「生き残るためには、当たり前のことでしょ!

だから、病気なんて言わないで!」

と言っているわけですね。

 

僕もこの意見に賛成です。

生き残るためには、なんでもするのが、

生物として当然ではないでしょうか?

銀行強盗

ストックホルム症候群を簡単にまとめると。。。

・ストックホルム症候群の根底にあるのは

 生物がもともと持っている生存本能

 

・「自分の死」を覚悟した時に、生存本能が

 無意識に動きだし、

 生存するために、適切な感情になりやすくなる。

 

・この状態で、様々な条件が重なると

 ストックホルム症候群は発生する。

 

ストックホルム症候群をまとめると

上のような感じになるかと思います。

 

今回の話を振返ると、

人間の脳の凄さを実感しますね。

そして、何より、

感情や気持ちまで変化させてしまう、

「生存本能の強さ」

を感じずにはいられない一件だったと、僕は思います。

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